●縁あって・・・
江刺に来て18年余り。すっかりこの地の水に馴染んだつもりです。
私こと柏木敏雄は、岩手県の南端に位置する藤沢町黄海出身です。あまりなじみのない地名かもしれません。「後三年の役・前九年の役」といえば誰もがご存じかと思いますが、その「前九年の役」の戦場となったところです。大河ドラマ「炎立つ」(渡辺謙さん主演:このロケがきっかけで歴史公園「えさし藤原の郷」が誕生することになります)にも出てきましたが、安倍一族源頼義軍と戦った場所です。
四方を北上山系のパノラマが覆った、四季の風情豊かなとても素敵なところで、温暖な気候を活かした農業が基幹産業の町です。キリシタン殉教の地・陶芸の里として、多くの歴史、文化が今に伝わっています。年間30万人の観光客が訪ます。
昭和61年、ホテルニュー江刺オープンと同時に入社。サービス、営業、マネージャーとして17年勤務。仕事柄、たくさんの地元の皆様と接し、江刺との関わり、接点は日々増大していきました。
毎年5月に開催される「えさし甚句まつり」の、平成14年度42歳年祝連「弐紀会」にも参加し、地元の同級生との親交もはかれ、通りを歩く人も、配達先のお客様にも顔を覚えていただきました。
お祭りを経験して早2年、いまだに会のメンバーとはお酒を共にしています。
 
●南部杜氏
28杜氏の中で越後杜氏・丹後杜氏と並んで日本3大杜氏と呼ばれる杜氏集団。杜氏の数は372名と全国最多を誇ります。
他の酒造従事者を含めると約1300名。最盛期の昭和40年頃には、3200名が加盟していたと聞いております。
南部杜氏の発祥は、岩手県石鳥谷町(江戸時代に移り住んだ近江商人が祖とされている)。県内でも優良な穀倉地帯として名高く、酒造りが盛んです。
南部杜氏が活躍しているのは、九州・沖縄を除く殆どの地域といえます。全国の約400の酒造会社で、南部杜氏が酒造りの長として、その技術を注いでいます。

●日本酒の種類
日本酒は、かつては特級・一級・二級という級別制度で馴染みがありましたが、平成11年「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」により、その製造方法や原材料によって分類する「清酒の製造品質表示基準」による特定名称酒と、広く一般に愛飲されている日本酒に分けられました。
◆純米酒
  白米と米麹、及び水だけを原料としたものです。香味、色つやが良好。文字通り、お米だけで造られたお酒です。
さらに、純米酒と特別純米酒に区分され、特別純米酒は精米歩合を60%以下とされ、原材料・製法などが客観的な説明が必要です。アルコール添加がないため、濃醇な味わいが特徴で、酒造りの中でも高度な技術が必要とされます。
◆本醸造酒
  精米歩合70%以下(純米酒と同じ)の白米と米麹、醸造アルコール、水を原料と造ったお酒です。醸造アルコールは白米重量の10%以下の量で添加されたものです。すっきりとした味わいが特徴で、キレの良い飲みやすい仕上がりになります。
さらに、本醸造酒と特別本醸造酒に分けられます。特別本醸造酒は、原材料・製法などが客観的な説明が必要です。精米歩合は60%以下となります。香味、色つやが特に良好。
◆吟醸酒
  精米歩合60%以下に削った白米、米麹、水または醸造用アルコールが原料としたものです。吟醸づくりは10℃前後で1ヶ月程度の長時間でゆっくりと発酵させたもので、吟醸香と呼ばれる固有のフルーティな芳香・つやがあります。
醸造アルコールを使用した本醸造と、使用しない純米があります。
◆大吟醸酒
  吟醸酒のうち精米歩合50%以下の白米が原料。固有の香味、色つやが特に良好。
さらに、純米吟醸酒および大吟醸酒の製法・品質の要件を満たしているものを純米大吟醸酒といいます。(醸造用アルコールを未使用・精米歩合50%以下)
・吟醸酒・純米酒・本醸造酒を特定名称の清酒といい、原料、製造方法の違いによって8酒類に分類されます。
◆その他
  ・生酒〜清酒の製造工程で、貯蔵前と瓶詰め前にそれぞれ1回ずつ計2回、加熱殺菌(火入れ)を行いますが、生酒は一切火入れをしません。酵母菌が生きているためフレッシュな香味がします。
・生貯蔵酒〜製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理するお酒
・樽酒〜木製の樽で貯蔵し、木香のついたお酒
・原酒〜出来上がった酒に加水せず、アルコール度数を落とさないもの。貯蔵中の酒の殆どがこの状態です。
・にごり酒〜もろみの中の蒸し米や麹の粒を細かく砕き、目の粗い布などでこした濁った状態のお酒。加熱殺菌していない生酒が多く、発酵過程の炭酸が残っているため、活性化した酵母菌のみずみずしい味がします。
・古酒〜長期保存、貯蔵させていたもの。熟成させることによって香りが落ち着き、風味にもまろやかさが増します。3年以上貯蔵したものを「長期間貯蔵酒」、5年以上のものを「秘蔵酒」といいます。
・低アルコール酒〜一般的に清酒のアルコール度数は15〜16度ですが、低濃度酒は15度未満。食生活の多様化や嗜好の変化に応じて、特殊な製法でうま味をとどめながらアルコール度数だけを下げた、新しいタイプ・低濃度酒の開発が最近進んでいます。
 
名 称
精米歩合
アルコール添加
 大吟醸酒  50%以下  白米重量の10%以下
 純米大吟醸酒  50%以下  未使用
 吟醸酒  60%以下  白米重量の10%以下
 純米吟醸酒  60%以下  未使用
 特別純米酒  60%以下  未使用
 純米酒    未使用
 特別本醸造酒  60%以下  白米重量の10%以下
 本醸造酒  70%以下  白米重量の10%以下
 

●酒造好適米

日本酒の主たる原料である米は、酒造好適米が使用され、普段食べている白米とは品種が異なります。酒造好適米は粒が一回り大きく、中心部に心白(しんぱく)と呼ばれる不透明な白い部分があります。粒の外側にはタンパク質(6〜8%)が含まれており、精米歩合が上がる程、澱粉の比率が高まり雑味の少ないお酒になります。
約80種類。そのうち、岩手県オリジナル品種は「吟ぎんが」「ぎんおとめ」があります。
全国的には山田錦・五百万石・美山錦・雄町・兵庫夢錦が多いです。
※出典:平成15年10月3日付 食糧庁計画流通部計画課 「平成15年産水稲の品種別作付状況(速報)」

亀の尾
亀の尾は明治26年に山形県酒田市のとなりの余目町の民間育種家である阿部亀治翁が隣り町の立川町谷沢地区で発見し、余目町内の試作圃で育種して世に広めた米です。
購入肥料である大豆粕、魚粕などの有機肥料中心の農法で増収してきましたが、大正7年以降、石灰窒素などの無機質肥料の施用が盛んになると、亀の尾は稲丈は高いが、病気に弱という特性が
多肥栽培時代に入って裏目に出てしまい、倒れやすく、育てにくいことから、作付量が次第に減少していきました。そして、農業試験場に1000粒余りを残した他は、とうとう病害虫に侵され絶滅したといわれています。
この100年も前の幻の米・亀の尾を近年無農薬で栽培・復活・生産させ、さらに現代の技術で醸す吟醸酒を造る試みがありました。亀の尾はとても硬い米で、米を水に浸す浸積の時もなかなか水を吸ってくれないなど、酒造りは独自のノウハウと技術が必要になる米です。亀の尾で酒を仕込んでいる蔵元は、東北、北陸地方を中心に全国で33社。


酒琳・杉玉
日本酒に興味がある方、酒蔵を通りかかったり、見学した事がある人なら見たことがあるはずのこの玉。酒蔵なら必ず軒先に吊してある「杉玉」と呼ばれるものです。
古来、造り酒屋の看板として杉の葉を束ねて軒先に吊し、その年の良質な酒造りと酒造の神様(松尾様)のご加護を願う習慣がありました。
これを“酒琳(さかばやし)”といっていましたが、後に球状に造られたことから、「杉玉」と言うようになったそうです。
青々とした真新しい杉玉が吊されると新酒ができたお知らせとなり、時間と共に色が褪せ茶色になる頃には熟成されたお酒の発売をお知らせすることになります。

お酒の名前に使われる漢字ランキング
 
 1. 山(241銘柄で使用)  11. 千(126)  21. 寿(104)
 2. 鶴(203)  11. 花(126)  22. 桜(101)
 3. 正(193)  13. 松(123)  23. 雪(100)
 4. 宗(182)  14. 福(120)  24. 富(97)
 5. 菊(161)  15. 天(118)  25. 吟(95)
 6. 大(145)  16. 一(118)  26. 長(93)
 7. 金(140)  17. 川(114)  27. 日(92)
 8. 泉(137)  18. 越(112)  28. 井(89)
 9. 乃(131)  19. 美(110)  29. 盛(85)
 10. 白(127)  20. 代(108)  30. 水(84)