酒舗 柏木本店
〜蔵のある店〜
当店は明治6年(1873年)初代店主柏木廣治がこの地にて開業し、今回の改装時(平成9年)で創業124年を迎えさせていただきました。開業当時は清酒の醸造元として「寳津正宗」「富久柏」等の銘柄酒を製造、醸造、販売し、この蔵も創業当時より使われていたものです。蔵は二階建てで、重厚な造作や丁寧な仕事の建具など、家財の保管庫として重用していた往時が偲ばれます。時代の流れと共に当店も変わり、現在は販売業のみ行っておりますが、これからも日本と世界の銘酒をご提供し、また皆様に愛される店を目標にしておりますので、変わらぬご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
四代目店主 柏木松治(平成15年逝去)
左は平成9年の改装時、当時の店主であった故柏木松治が、蔵に設置したメッセージです。
柏木本店を紹介をさせていただく上で、蔵は大変重要になります。当店の蔵、そして蔵のある町江刺市中町を、私の知識の範囲内ではありますが、お伝えしたいと思います。
「蔵のある町」中町
  ●岩手県江刺市

岩手県の中南部に位置し、北上川流域平野から北上高地に及ぶ362.5平方キロメートルの広大な面積を有します。人口は約35,000人、豊かな自然に恵まれた田園文化都市です。
北東北、北緯39度、年間平均気温11℃、決して住みやすいとは言えない環境ではありますが、素朴ゆえ温かい人情と、北上山系から沸き出す美味しい水が、日本でもトップクラスのお米を作りあげた・・・江刺市とはそんなところです。
そしてその江刺市の商業地に「蔵のある町・中町」があります。
歴史公園「えさし藤原の郷」
  ●今から10年ほど前

突然江刺に新しい風が吹きました。町おこしの風です。
当時の青年会議所のメンバーが、岩手の作家である高橋克彦氏の、奥州藤原氏を描いた小説「炎立つ(ほむらたつ)」がNHK大河ドラマに採用されたことをきっかけに、藤原氏と大変ゆかりの深いここ江刺市にロケをと、招致運動をはじめたのです。結果メインロケ地となり、そこから歴史公園「えさし藤原の郷」が誕生。以来毎年のように大河ドラマをはじめとした多くのロケが行われるようになり、その経済効果も手伝ってか、それ以降江刺市は「住みやすい町ベスト10」や「成長率ベスト10」のような都市ランキングの常連へと変貌を遂げました。(みたいな話をよく耳にしましたが、間違っていたらごめんなさい)
●町が変わっていく

その風が次に一番強く吹いたのが中町。町おこし会社が登場し、眠っている蔵を蘇らせることをコンセプトに、滋賀県長浜にならい、蔵のある町づくりを開始したのです。ガラス館を皮切りに、音のミュージアム、オルゴール館等が登場。また行政からは菊田一夫記念館や甚句まつり伝承館が登場し、古くからの商店も思い切って改築を行い、町があっという間にすっかり様変わりしたのです。
歴史のある町の光景を変えるということは、ともすると今の時代は批判の対象とされたりしますが、それにより死んでいた町が蘇った、少なくともそこに住む人々の意識が前向きになったということは、外部の誰も批判できるものではありません。
 
中町の中央に位置する「黒壁ガラス館」
●そして柏木本店も

すべてが昔ながらの蔵の再利用ではなく、それぞれの商店は店の門構えを土蔵をモチーフにしての改装でした。中町をあげてのこの一世一代の決断は、通りとしての統一感を出しつつ、モダンな町並みをしっかりと演出しています。
私ども柏木本店には、幸い充分利用できる蔵がありましたので、町づくりのイメージにはしっくりといったようです。おかげ様でテレビや雑誌の取材等も多くなり、お店のイメージアップを外部からも支えていただきました。
 
柏木本店
   
蔵の外観
入り口です
こちらも入り口です
   
外にはこんな窓が
看板商品の看板?
風情ある徳利
   
裏の入り口です
こんな看板も
最近体重増えすぎ
   
名入り提灯
蔵ギャラリーです
富久柏です
ノスタルヂィのページにはさらなる逸品があります