ここで豆腐について少しばかりお話ししましょう。腐っても豆腐屋、一応いっぱしの知識は持ち合わせてます。まあ、インターネット等で調べても、結構同じ表現をしているサイトがあったりします。(出展者のみなさんごめんなさい)
■豆腐の起源
   豆腐が生まれたのは中国。とはいっても実は、その起源や歴史ははっきりしていません。大豆の加工食品として、中国本土、東南アジアにおいてその栽培の歴史の古さから5000年近い歴史があるようですが・・・。一説によると今から2000年前の漢の時代に作られたみたいですが、1000年前の宋時代に書かれた「静異録」にはじめて「豆腐」という文字が登場したそうです。
 日本に豆腐が伝来したのは、奈良・平安時代という説が一般的です。あの遣唐使の時代、仏教の伝来とともに僧侶が日本に持ちかえったのです。当時豆腐は、僧侶や貴族などの特別階級の人たちの食べ物とされ、一般庶民の口にはなかなか入らなかったとか・・・。江戸時代頃から、やっと食べれるようになったようです。
  豆腐に関する最古の文献として、奈良春日大社の記録に「唐府」という記述が残っています。この記述からも仏教とともに伝来したものと考えられます。
■豆腐の作り方
   豆腐は「大豆」と「ニガリ」と「水」で構成されています。その作り方を簡単に説明します。
 大豆を一晩水にさらしておいて、よくふやかした後、グラインダーに入れ水を加えながら細かく砕き、溶液にします。その溶液を煮込み、その後こし布で溶液を絞り出します。これが豆乳です。この豆乳にニガリを加えると凝固が始まります。その凝固したものを器に移し替え、重しを乗せておいておくと豆腐の出来上がりです。
■大豆について
   大豆は「畑のお肉」と言われるほど栄養価が高い食品です。良質なたんぱく質、カルシウムなどのミネラルを多く、しかもバランス良く含んでいます。大豆タンパク質には人間が体内で作ることができない必須アミノ酸を多く含み、その一方で、悪玉コレステロール上昇の原因となる飽和脂肪酸が少ないという特質を持っています。私たち日本人は、普段何気なく食べている味噌汁、豆腐、納豆といった伝統食から、必須アミノ酸を効率よく摂取しているのです。
■ニガリについて
   「ニガリ」とは海水を濃縮して塩を結晶した後に残った母液(エキス)のことです。海水に溶け込んでいる60数種類の微量元素(ミネラル)が含まれています。それが「ニガリ」なのです。舐めると文字通り苦い味がします。だから「苦汁」と書くのでしょう。「ニガリ」はタンパク質を凝固させるので、豆腐製造に用いられていました。
 豆腐屋で使用する「天然ニガリ」は、豆腐を固める成分である塩化マグネシウムのみをニガリから抽出したものや、海外から輸入された固形ニガリの場合があります。塩化マグネシウムのみの「ニガリ」の場合は、飲みすぎると下痢をするおそれがあります。輸入物の固形ニガリについても、固形化の過程で成分を排除したり、精製し直したりしていることがありますので、成分や製法をよく確かめる必要があります。
■豆腐の種類
   主な豆腐の種類として「絹ごし豆腐」と「もめん豆腐」があります。それはあたかも、こす布の違いのように思えますが、もともとは舌触りからきた呼び名で、それぞれ水分のあり方に違いがあります。
 よせ豆腐を作るまでの工程は同じですが「絹ごし豆腐」は、よせ豆腐の水分をそのまま固めたもの、「もめん豆腐」はよせ豆腐の水気を切ってから固めたものです。